今回は ワンちゃんの泌尿器結石のお話です。猫ちゃんの泌尿器結石は過去にもお話ししましたが、ワンちゃんにも多い病気です。
最近、元気食欲が無く痩せてきたということでご来院ました、4歳のチワワです。
レントゲンを撮ると 巨大な結石が複数あり、左腎臓が著しく腫れていました。
左腎臓左腎臓の腫れと巨大な結石が複数ありました。
超音波検査では左腎臓は構造が崩壊しており、水腎症になっておりました(腎臓が水風船のように膨らむ)。
右腎は超音波検査では正常でした。(赤と青は正常な腎臓血液の流れ)
血液検査では貧血がありましたが、腎臓の数値は正常でした。
検査結果としては膀胱結石・尿管結石により左尿管完全閉塞・水腎症という診断です。治療法は早期発見で軽度の水腎症なら尿管の閉塞を解除すれば腎臓は元に戻りますが、このように重度の水腎症になってしまったらもう手術で摘出するしかありません。
摘出しました、3kg程度のチワワなら正常な尿管の太さは爪楊枝程度ですが、重度に拡張していました。炎症により周囲に重度に癒着し、尿管も著しく蛇行していたので大変でした、、、
尿管の先端に結石が詰まってました。
巨大な膀胱結石のほか尿道に詰まっていた石も全て摘出できました!
手術後2日ほど元気はありませんでしたが、3日目位から食欲が出て元気になりました! その後、片腎だけで大丈夫かどうか腎臓の数値を血液検査して、問題無いので退院となりました。
検査の結果、結石はリン酸カルシウムという成分の結石でした。この石は基本的に食事療法が効きにくい結石です、食事療法と同時に利尿を促し結石の発生を抑えるサプリメントを長期にわたり使用していきます。 残ったもう片方の腎臓に結石が出来たら命に関わります。
結石にも色々な種類があります。膀胱に結石が発生したら、食事療法をしばらく続けても溶ける見込みがなければ手術も考えなければいけません。
手術をして結石の成分を分析して、対策を練ることが重要です。
犬 小型犬 膀胱結石 尿管結石 水腎症 摘出手術 5〜7日入院 費用総額 15〜20万円(結石の数、摘出難易度による)