症例集

2016.06.08更新

犬の避妊手術について御説明いたします。本院の避妊手術は卵巣も子宮も両方とも全て摘出する手術です。

手術の目的はもちろん避妊のためなんですが、主たる目的は卵巣子宮に関連した様々な病気を予防することです。

 乳癌を予防する。

 卵巣癌・卵巣嚢腫など卵巣の病気を予防する。

 子宮癌・子宮蓄膿症などの子宮の病気を予防する。

 発情生理に伴う出血・乳腺炎などを防ぐ。

などが挙げられます。男の子の去勢手術同様に高齢期の病気を予防することで相対的に寿命が延びるというデータ(避妊手術が直接寿命を延ばす訳ではなく、高齢期の病気で亡くなることを抑えるため未避妊の犬に比べ相対的に寿命が長くなるというデータ)もあります。

 手術のデメリットは全身麻酔が必要な事、肥満になりやすいという事(女性ホルモンが抑えられるので食欲が増進するのと、生体に必要なカロリーが15〜25%減少するため肥満になりやすくなる)。

 推奨する手術時期ですが、こちらは乳癌発生率と女性ホルモンの関係で初回発情前(一般的な小型〜中型犬なら6〜8ヶ月齢)に避妊手術を終えるのが望ましいです。初回発情前に避妊手術を実施すると乳癌を99%予防することができます。初回発情を越して2回目の発情期前に避妊手術を実施すると乳癌の予防効果は90%となります。3回目の発情期前の避妊手術は乳癌の予防効果は80%にまで落ち、それ以降は避妊手術しても乳癌の予防効果は無いと言われています。しかし卵巣の病気や子宮の病気は、その病気になる前に避妊手術を実施すれば確実に予防できます。また初回発情期前の比較的若齢の時期に手術をすると卵巣や子宮が細く柔らかく摘出が容易なので傷口が小さく済みます。また若齢期の手術は手術からの立ち直りが早い傾向にあります。若齢期に手術すれば通常は手術後の夜か次の日には食欲は戻りますが、2〜3歳を超えての手術だと1〜2日食欲が戻らないこともあります。

 避妊手術の流れですが、一般的な小型犬〜中型犬で若齢期の手術であれば手術時間も30分〜45分位なので基本的に日帰りです。午前中にお預かりしてその日の夕方にお迎えです。2〜3歳以降の小型犬〜中型犬や大型犬はご相談に応じて1泊入院になります(1泊は無料で入院できます)。

避妊手術説明

避妊手術前

 

一般的な小型犬の避妊手術の画像です、ついてるクリップは心電計のクリップです。まず毛を綺麗に剃ります。剃った後消毒しておヘソの下あたりを切開して卵巣子宮を摘出します。避妊手術は手順が決まっている手術です。まずおヘソの下を切開したら左側の卵巣の血管を処理し左側の子宮間膜の血管を処理し、次に右側の卵巣の血管を処理し右側の子宮間膜の血管を処理し、最後に子宮の根元の血管を処理して摘出します。

避妊手術後

 

体重2キロ位の小型犬で若齢期の手術ならばこの程度の傷口で卵巣子宮の摘出ができます。この傷の大きさは当然犬の大きさや卵巣や子宮の大きさ柔らかさで決まります。

手術後は自分で糸を舐めないようにエリザベスカラーや手術服を装着して7日〜10日後位で抜糸に来院てもらいます。化膿止めの抗生剤を5日分処方します。

以上が本院での避妊手術の流れになります。

避妊手術でお悩みの方、お困りの方、お気軽にご相談ください。

 

投稿者: アプリコット動物病院

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