犬の去勢手術について本院のやり方をご説明します。
まず去勢手術とは男の子のワンちゃんの精巣を全て体から摘出する手術です。
去勢手術の目的は主に男性ホルモンを抑えて高齢期の病気を予防することです。
1 精巣の癌を予防する
2 肛門周囲の腫瘍を予防する
3 前立腺肥大による排尿障害を抑える
4 会陰ヘルニア(お尻の筋肉が緩んで脱腸する病気)による排便障害を予防する
などの利点があります。これら高齢期の病気を抑えることで寿命が延びるというデータもあります(去勢手術が直接寿命を延ばすわけではなく、去勢して高齢期の病気を防ぐことで、未去勢の犬に比べ相対的に寿命が長いというデータ)。
しかしながら全身麻酔が必要不可欠というデメリットもあります。
まず理想とする実施の時期ですが生後6〜7ヶ月齢を推奨しております。去勢手術は3歳でも10歳でも15歳でも実施可能です。上記4つの病気になる前に去勢手術をすれば病気は予防できるでしょう。ではなぜ6〜7ヶ月齢での手術を推奨するのか?理由は手術からの立ち直りが若い方が圧倒的に早いからです。
2〜3歳以降に手術すると手術後1〜3日位はしょんぼりしていますが、6〜7ヶ月齢で手術すると多くの子は翌日から元気になります。精巣が未熟で小さいので傷口も小さくて済みますし、抜糸までの期間も短くて済みます。ですので去勢手術は生後6〜7ヶ月齢での実施をお勧めしております。
本院の去勢手術は基本的に日帰り手術になります。去勢手術は通常10〜15分で完了します。手術前の毛刈りや消毒なども含めてもトータルの麻酔時間は30分前後です。
また手術自体も手順が決まっている手術であり大きな問題が起きる可能性は低く、男の子の去勢手術は目的とする精巣が既に体の外に出ています。
流れとしては 午前中11時までにお預かりして夕方5時以降にお迎えにいらしていただくという形です。
ペニスの根元を精巣の大きさの分だけ切開して、切り口から精巣を押し出して体外に出します、精巣の血管を処理して切って摘出します。2つ摘出して切り口を縫合して終了です。命に関わる大血管や後遺症が残りそうな神経を扱う手術ではありませんので日帰りで行います。
実際には毛を剃って消毒して実施しますので手術後はこんな感じになります。
傷を縫った糸は7日〜10日位で再び来院していただき抜糸します。それまでは傷口を舐めないようにエリザベスカラーを装着したり、傷が隠れる洋服を着せたりして傷口を保護します。エリザベスカラーや術後服はお貸ししています。
化膿止めの抗生物質を3日分処方します。手術翌日からお散歩にも行けます。
去勢手術をお考えの方、お悩みの方、お気軽にご相談ください。