今回の症例は9歳の男の子の猫ちゃんです。
数年前から尿道閉塞を繰り返しているとのことでした。尿路結石用の処方食をしっかり食べているのですが、お外にも行ってしまう猫ちゃんであり、再発を繰り返しているようです。
今回は包皮が著しく腫れていて、陰茎も同様に酷く腫れていました。自分で舐めてしまったのか、あるいは過去に何度も尿道カテーテル処置をされているせいなのか、いずれにせよ外尿道口は確認困難で、尿がポタポタ滴下するだけでした。
プラスチック製のカテーテルをなんとか通して貯まっていた尿を排尿させて膀胱を洗浄しました。
治療としては、これ以上陰茎を舐め壊さないようにエリザベスカラーをつけて完全室内飼いにして、腫れを引かすお薬を投与してみることになりました。
三日後やはり尿はポタポタとしか出ず、包皮・陰茎の腫れは全く改善ありませんでした。
飼い主様と相談して、内科療法では全く改善しないので手術することになりました。
手術(会陰尿道造瘻術)は著しく腫れてしまって尿道閉塞の原因となっている陰茎先端を切除して、広い尿道をお尻に開口させ尿道閉塞再発を防止るという方法です。
手術によって、3mmを超える太いカテーテルが容易に入るようになります、しかし尿を垂れ流すことにはなりません、自分の意思でしっかり排尿できます。数日間カテーテルを入れっぱなしにするため入院となりますが、今後は尿道閉塞が再発することはなくなります。
男の子の猫ちゃんの尿道閉塞はとても多い病気です。適切な生活環境と徹底した食事療法により、一般的には内科療法で再発防止が可能です。しかしながら、大きな結石で尿道が完全に閉塞している場合や今回のように尿道の損傷が著しい場合やお外に出てしまって食事管理や生活環境管理が困難な場合は、このような手術で再発を防止することも一つの手段です。
猫 会陰尿道増瘻術 入院から退院までの費用総額 12〜15万円前後