目が開かない 角膜潰瘍 デスメ膜瘤 結膜フラップ 犬 習志野市 津田沼 アプリコット動物病院

今回の症例は 眼球、角膜に発生した傷に対する手術です。

角膜はご存知の通り、物を見る(光を通す)という機能のために無色透明の1mm以下の薄い膜で、栄養を運ぶ血管が存在しない組織です。ですので治りが悪く深く傷ついてしまうと破けてしまい最悪失明してしまう場合もあります。角膜の傷の原因としてはお散歩中に草むらで傷つけた、同居犬と喧嘩した、目が痒くって自分で擦って傷つけた・・など様々です。角膜の傷は浅ければ適切な点眼治療で完治しますが、より深い傷には破れてしまわないように手術も必要になります。

今回はかなりお年を召したワンちゃんで、ホルモンバランスの乱れにより角膜潰瘍が通常の点眼療法で治癒せずにどんどん傷が深く広くなってしまい角膜が破れる寸前(デスメ膜瘤)になってしまったために手術になった症例です。ワンちゃんも高齢になるとホルモンバランスが崩れる病気になることがあります。このワンちゃんはストレスホルモンが出過ぎてしまう病気であり、それにより免疫力が低下し傷の治りが悪くなって角膜の傷が広がってしまったと考えられます。ですのでストレスホルモンを抑える内服を飲みながら手術になりました。

前述のように角膜には血管が存在しない薄い膜なので、深い傷は破けてしまう恐れがあります。それを補うために、血管が豊富な結膜を角膜の傷の上に移植して傷を埋めて、その結膜の血管から角膜に栄養を与え傷を治すというメカニズムです。


中央に大きく深い角膜潰瘍があります(デスメ膜瘤)、放置すれば角膜が破けてしまうでしょう。

このように血管豊富な結膜を角膜の傷の上にに縫い付けます。角膜は1mm以下の薄い膜なので縫合糸も髪の毛ほどの細い糸を使用します。とても繊細な手術です。

 


手術から1ヶ月後、移植した結膜は角膜に癒着し一体化しました。視界は悪いですがもう角膜が破れる心配はないでしょう。

 


その後、移植した結膜の根元を切り離します。角膜と一体化している残った結膜は小さくなっていきます

角膜は簡単に傷つく脆い膜で、血管が無いため治るのにも時間がかかります。目は2つあるため片方が失明してもワンちゃんの生活はあまり変わらず普段通り過ごせます。しかし両目が失明すると物にぶつかったりするようになり、楽しいお散歩も積極的にできなくなります。
ワンちゃんが目を眩しそうにしていたり、痒がったり充血していたりしたらあまり様子をみないでお気軽にご相談ください。

犬 結膜フラップ手術 入院から退院まで費用総額 12~15万円